Posh KAMAKURA 音楽教室

電子ピアノを購入する際に参考にしてほしいポイント

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大人でもこどもでも、これからピアノを初めて習うという方で自宅に既に楽器をお持ちだという方はなかなか多く無いと思います。ピアノを始めたいけれど住宅事情から電子ピアノしか買えない(置けない)し、どれを選んで良いのやら…というお悩みの声をよく聞きます。そこで鍵盤楽器選びのポイントとおすすめをご紹介したいと思います。

まずお伝えしておきますが、「続けるようだったら買おうかと…」なんて考えでは絶対に続きません。いえ、続けられません。習い始める時点で購入済みである必要はありませんが、習い始めたらモチベーション維持の為にもお早めのご準備をお勧めします。

絶対必須条件はたった2点。鍵盤数88鍵、3本ペダル です。

その理由は・・・

鍵盤が88鍵あるもの

そもそもみなさんにお馴染みのピアノという楽器は1700年初頭の発明当初には54鍵しかありませんでした。それが音楽の発展と共に表現力の多様化に対応すべく、18世紀後半に61鍵、1800年頃に68鍵、1820年頃に73鍵、1830年頃に78鍵と増えていき、1890年頃に白鍵が52鍵・黒鍵が36鍵で全88鍵と進化してきました。

どうしてそれ以上増えなかったのかというと、低音も高音もこれ以上増えても人の耳では聞き分けがつかず、ただのノイズと化してしまうことが一番の原因です。

また、これ以上鍵盤数が増えると一箇所に座ったまま手が届く範囲を超えてしまうというのもその理由の一つかと考えられます。

鍵盤楽器を買おう!と思っても「どこに置こうか」と悩まれる方も少なくないのではないでしょうか。そうなると「もっと鍵盤数の少ないコンパクトなキーボードではダメなの?安いし…」なんて意見も出てきます。ポピュラーピアノというか、バンドの1パートを担うキーボードとしては鍵盤数の少ないタイプを使用することもあります。低い音はベースが演奏するので必要無かったり、持ち運びにもステージ上でもコンパクトな方が便利だったりするからです。

しかしピアノを習う上では鍵盤数の少ない鍵盤楽器は極力避ける方が良いと思います。

こんなに沢山の鍵盤が最初から必要?と訊かれると答えはNOです。使いません。最初からどころかプロのピアニストでさえも端から端までくまなく使うなんてことは滅多にありません。ではなぜ必要なのか。

子供のピアノ練習に88鍵をお勧めする最大の理由は、音の高低や空間を認識するためです。

音の高低や空間の認知

大人にとっては当たり前のことでも、音楽を初めて習うというお子さんの中には音の「高い」「低い」という認識がまだ持てていない子もいます。「高い音を鳴らしてみて」と言うと不思議そうな表情で天井を見上げるお子さんもいるのです。そのようなお子さんに音の高低を認知させる為には鍵盤数はより多い方が良いと言えるでしょう。

また日常的に鍵盤数の少ない楽器で練習していると、いざ本物のピアノを演奏する際にどこを弾いて良いのかわからなくなることでしょう。

端から端まで弾ける対応能力

幼少期は真ん中に座った状態では勿論端まで簡単には届きません。しかし早い段階から手のポジション移動に慣れておくことは演奏技術の向上だけではなく読譜の観点からも重要です。これは後から別途書きますが、ピアノを弾くと言うと手を使うというイメージしかないかもしれませんが、実は足がとても大事な役割を果たします。その足の必要性は遠くの鍵盤を弾く際により高くなることから、鍵盤数88鍵の楽器で練習しておくことをお勧めしております。

3本ペダル

最初からペダルが必要なわけではありませんが、習い始めて1年もするとペダルを使用するケースもございます。それでも使用するのは3本あるうちの1本のみです。

じゃぁやっぱり最初から3本も要らないじゃん!と思われることでしょう。

それでも3本ペダルを絶対条件に挙げる理由をご紹介しましょう。

3本のうちのどれを踏めば良いのか覚える

かなり上級者になるまで3本あるうちの両端の2本しか使いません。これは断言できます。理由は3本の真ん中のペダルはピアノ史上一番最近開発されたペダルで、クラシック曲の大半が作曲された頃にはその存在が無かったので楽譜上に真ん中ペダルを踏むという指示が登場しないからです。

ペダルユニットが固定できない物は避ける

簡易的なキーボードではペダルユニットが別途配線を繋ぐと使えるタイプがあります。3本ペダルがあってもこの別途なタイプのペダルユニットはどの位置に置くかによって座る位置が決まってくるので、設置位置がとても重要になります。

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また、置き型のペダルユニットの場合、その大半がペダル使用中にどんどん位置がズレてきます。キーボードを壁につけて設置している場合は問題無いかもしれません。それでも右側ばかり踏んでいると前後だけでなく左右にも動いてしまうわけで、そんなことに気をとられていては満足に演奏できません。

他にもできればクリアしておきたいポイントがあるのでご紹介しておきたいと思います。

最大同時発音数

最後に書きますが実はこれが最重要事項だったりもします。

電子楽器には最大同時発音数という数値がありまして、88鍵を満たさないタイプのキーボードでは最大同時発音数が少ないものがほとんどです。

例えばこちら、楽器と言えばヤマハ!のYAMAHA製の可愛いキーボードですが、最大同時発音数は32。

32もあれば十分じゃない?と思われましたか?

人間は両手を合わせても10本しか指がありませんので一見十分に思えるかもしれません。しかしステレオ出力な時点で1音を鳴らすのに発音数は2必要です。片手で4つの音を同時に鳴らす和音を両手それぞれで弾いた場合、一度に8音鳴るので必要発音数は16。ここから残響のあるうちに次の別4和音をすぐに弾いたとします。すると和音の切り替わりポイントでは同時に両方の和音が鳴っている時間が一瞬ありますので必要発音数は16の2倍の32。このキーボードの限界値ですね。

この和音を伸ばさずに、残響があるうちにすぐ次の音を1音でも鳴らすと、前に弾いた和音は不自然にプツっと切れます。最大同時発音数を超えてしまうからです。

本物のピアノにより近いサウンド、感触で練習できないと変な癖がついてしまいますので、電子鍵盤楽器のご購入をご検討の場合にはこの最大同時発音数という数値を必ずチェックしてみてください。

ここまで読んでも「でも最初はコンパクトでお安いキーボードでも良くない?」と思われた方は、どうぞご満足のいくお値段でコンパクトなタイプをご購入の上、必要に応じて頻繁に買い換えてグレードアップさせてください。ただその買い替えの度に購入金額は上がっていくことが予想されますし、古い物を処分するにもお金がかかることをお忘れなく。

絶対では無いものの重要なポイント

無きゃ無いでどうにかなる。でもあった方が良い、そんなポイントもご紹介します。

譜面台が付いているタイプ

譜面台はそれだけの機能の物を購入して使用することも可能ですし、その方が良いこともありますが、基本的には付いているタイプのご購入をお勧めします。

そしてその付いている譜面台の位置はある程度高い方がお勧めです。

その理由は演奏中の目線にあります。
鍵盤(手元)のすぐ奥に譜面台があるタイプですと常に視線が低い状態で演奏することになり、お教室やホールでグランドピアノを弾く際にはかなり視野や姿勢が異なることになり、練習通りの演奏ができなくなってしまいます。譜面台の位置が低すぎると譜めくりの度に手を避けるか楽譜を持ち上げなければならないタイプもありますので、譜面台の位置はある程度高い方がお勧めです。

高さ調節のできる椅子

電子ピアノを購入する際には椅子がセットになっている商品も多く見かけます。その椅子、高さ調節ができますか?鍵盤と椅子の高さもとても大切な要素となりますので、「椅子なんて●トリで安いの買えばいいわ」なんておっしゃらずに楽器用の高さ調節可能な椅子を是非ともご購入ください。

ここまで書きましたいくつかのポイントを踏まえ、お勧めの電子ピアノをいくつかご紹介しようと思います。

おすすめの電子ピアノ

念の為申し上げておきますが、そもそも電子ピアノはピアノではありません。ピアノ型電子楽器とでも申しましょうか。模倣類似品です。よって一番のお勧めはグランドピアノです。しかし数百万もするグランドピアノをいきなり購入なさるご家庭もそうそう無いと思います。ここではビギナー向けという観点から比較的安い価格帯の物をご紹介しようと思います。

5万円未満の商品

こちらはペダルユニットが固定されていないタイプではありますが本体が5万円未満で椅子込みで5万円台なのでギリギリ条件を満たすかなと思います。最大同時発音数は120。

10万円未満の商品

こちらはお値段が少し上がりペダルユニットが固定されているバージョン。Amazon限定タイプの方がお安いですね。こちらは型落ち品なので在庫があればラッキーといったところ。最大同時発音数は120。

椅子がセットになっていない場合には高さ調整可能な椅子を選んでくださいね。

10万円以下で選ぶならこのローランド一択で良いのではないかと思うほどお勧めです。先にあげた条件を全て満たしておりますね。最大同時発音数128。

Amazon等で検索すると他の聞いたこともないようなメーカーのもっとお安い物を見つけられるかと思いますが、それをどうして勧めないのかと言いますと、鍵盤を上へ戻すバネが壊れやす買ったり、バネが強すぎて打鍵に本来不必要な力が必要となって指を痛めてしまったりするからです。信用できる楽器ブランドの商品が高くても売れるにはちゃんとした理由があるというわけです。

15万円未満の商品

まずこちらは河合楽器のベーシックモデル。ファースト楽器としてお勧めです。最大同時発音数192。詳細は公式サイトでご確認ください。

こちらはヤマハのスタンダードモデル。フルセットでこのお値段なのが魅力的ですね。ヘッドフォンも自宅練習には役に立つかと思います。最大同時発音数192。詳細は公式サイトでご確認ください。

こちらはローランドのスタンダード(HP700)シリーズです。先にあげた2種(2社)と比較すると若干お値段は上がりますが最大の魅力はピアノ音色選択時の最大同時発音数まさかの無制限!ダントツでお勧めです!

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15万円以上、20万円以下の商品

15万円以上の商品からは機能が格段良くなります。鍵盤が木製のタイプや、エスケープメントというグランドピアノ鍵盤のいわゆる『あそび』があり、アコースティックなグランドピアノにより近い機能が備わった商品が登場します。

まずご紹介しますのがヤマハのクラビノーバのベーシックタイプ。クラビノーバは基本的に木製鍵盤でエスケープメント機能が備わっております。最大同時発音数256。

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こちらは河合楽器の上位モデルであるCAシリーズ。こちらも木製鍵盤で、鍵盤はシーソー式(バネではなく梃子の原理で鍵盤が戻る)なのでアコースティックなグランドピアノにより近いタイプとなります。最大同時発音数は192ですが、スタンダードな練習曲の録音が沢山搭載されていることが魅力です。出力は4スピーカー。

これより上の価格になりますとあとはオプション機能で選ぶことになるかと思いますのでご予算に合わせてどれでも良いかと思います。

最後にご紹介しておきたいのがハイブリットピアノです。

ハイブリットピアノ

え?ピアノもハイブリット???

と思われたでしょうか。そうなんです、ピアノだってハイブリットな時代なのです。笑

お値段はアコースティックなアップライトピアノが購入可能なくらい跳ね上がりますが、機能的には納得の電子ピアノ最上位機種となります。グランドピアノを所有している私でも1台欲しいくらいです。

グランドピアノタイプはこちら。

最上位機種はこちら。もはやAmazon等では取り扱いがございません。笑

こちらは河合楽器さんのハイブリッドピアノ。

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最上位機種はこちら。こちらもAmazon等では取り扱いがありません。

こちらはローランド社の上位機種。

こちらはローランド社の最上位機種。もはやグランドピアノと見分けがつきません。グランドピアノよりはお安いです。

まとめ

価格帯によって機能が異なりますが、15万〜20万くらいの機種をお選び頂けると長く問題なくご使用頂けるかと思います。

この記事を書いた人

吉野朋子
故・山口博史氏のもと高等課程ソルフェージュ教育について学び、2002年国立音楽大学音楽教育学部を卒業。中学・高等学校教員免許を取得。在学中より声楽・器楽の伴奏に従事し卒業後はイタリア・ミラノのスカラ座室内楽アカデミーピアニストとして研鑽を積み、国内外のコンクールやマスタークラスに於いて公式伴奏を務めてきた。現在は鎌倉市に拠点を置き後進の指導にあたる他、アンサンブルピアノのスペシャリストとして演奏活動を続けている。料理とお酒をこよなく愛する道産子ピアニスト。
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